寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
突然の結婚話

それから一週間が平穏に過ぎていった。

エイミーさんからは、無事にアメリカに着いたという理玖さん宛のメールに、『理玖よりいい男を捕まえるんだから』というひと言が書かれていたらしい。

そうして退勤時間を迎えようとしていたときのことだった。
社長室のドアがノックもなしに開かれた。

まさかエイミーさんが!?と一瞬彼女の顔が過ったのは、登場の仕方が彼女と同じだったから。
ところがそこに現れたのは、ミヤコの足立社長だった。

急いで立ち上がり、ドアへと向かう。


「いらっしゃいませ。あの、本日はどのような……」


アポイントメントは入っていなかったはず。
私が話しかけると、足立社長は以前見たときとは違って険しい表情を浮かべていたものだから、その様子に言葉の先を躊躇ってしまう。

なにか急用なのか、ひどく落ち着きがなく見える。


「風見くんはいるかね?」

「はい……風見でしたら――」

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