Miss you・・・
別世界へ
そんな私を見た蘇我さんは、はぁっと大げさにため息をつくと、自分の額に左手を当てた。

「俺、そんなにおまえを怖がらせてるか」

どうしよう、ばれてた!
でも、どう返事をしても、蘇我さんを怒らせるだけだと思った私は、うつむいてしまった。

「俺んち、ここより広いし、予備の部屋もある。加えて病人のおまえと10歳の子どもが、こんなところに住んでると分かってしまって、引き下がるとでも思ってんのか?この俺が!」と最後の部分を強調して、蘇我さんはまくし立てた。

「こ、こんなところって・・・」
「薄っぺらい壁とドア。地震が来れば瞬殺。強盗野郎いらっしゃい的な安全度ゼロ以上のマイナス。他にもまだあるが、この辺でやめといてやる」
「・・・どうも」

蘇我さんに言われなくても、それは十分分かっている。
でも私ひとりの収入じゃ、このアパートを借りるのが精一杯だった。

そのとき明が、「秀吉さんちって広いの?」と聞いてきた。
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