「井上、さん」

「……」

静かな職員室の中、わざとらしく"さん付け"であたしの名前を呼ぶのは、今日から担任になる女の先生だった。

名前は……なんだっけ。

先生は、続けて大きなため息をつくと立ち上がり、あたしを見下ろした。

あたしの身長は150センチしかないーー大抵の人を見上げなければならないことに、14年も生きてればいい加減慣れる。

そして今年の誕生日が来れば、あたしは15歳になる。

「井上さん、前の学校でもそんな風だったの?」

「……」

「学校には、校則というルールがあるの。わかるわよね?」

「…」

あたしが何も言わないせいか、再び大きなため息をついた先生は「直さなきゃダメよ」とだけ言ってから、あたしを誘導しながら歩き出した。

先生が指摘していたのは、あたしの髪の毛の色について。

中学に入った頃くらいから、あたしは髪の毛の色をかなり明るくている。

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