15歳、今この瞬間を
買った絵馬を持って、みんながぶら下げているあたりまで来たあたしと小野さんは、他の人が書いた絵馬を見ていた。

「みんな色んなこと書いてて楽しいね!夢希ちゃんは何て書く?」

「う〜ん…」

絵馬を買ったはいいけど、正直何を書いたらいいのかよくわからなかった。

「小野さんは?」

「わたし?やっぱりS高合格、とかかな。ベタだけど受験生だしね」

そう言いながら、ピンク色のショルダーバッグからマジックを取り出した小野さん、準備万端だわね。

「夢希ちゃんも"S高合格"にしたら?なんなら、"彼氏と一緒に"とかつけちゃったり?きゃ〜っ」

何故かひとりはしゃぐ小野さんに、申し訳ないけど反応する気にはなれなかった。

「……」

S高に行きたいのは…リョウくんと、そらからロウーーーありさちゃんとの約束だから。

あたしが行きたいと思っている訳じゃない……リョウくんや小野さんから、行こうと言われただけ。

そしてたまたま、あたしの学力がそれに見合ってきているだけ。


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