君に捧げるワルツ ー御曹司の恋と甘い旋律ー
Stage.8 R.シュトラウス 歌劇 ばらの騎士より 第二幕 気高くも美しき花嫁に
あれから瞬く間に二週間ほどが過ぎ……


クリスマスも目前に迫った今日、私は人生二度目のセレブなパーティーに出席している。


「そんなに緊張するなよ。今日は内輪だけのパーティーだし、あの二人を祝福する日なんだから」


ブラックスーツに身を包んだ澪音はいつもと変わらない調子だけれど、前髪を上げているので彫刻のように整った顔立ちが目立っている。


今日は、弥太郎さんとかぐやさんの婚約パーティーだ。婚約がまとまった直後に急いで開催されることになったため、『近親者だけのカジュアルなパーティー』ということだったけれど。


「少しもカジュアルの要素が見当たりませんが……

どう見ても100人以上の人が来てるし、みんなドレスアップしてますよね?」


かくいう私も、澪音の見立てによりクラシカルなネイビーのドレスで出席している。ドレスはミモレ丈のふわっとしたワンピースで、シルクオーガンジーの生地が重ねられた可愛らしいデザインだ。これが私に似合うのかイマイチ自信が無いけれど……。


私の素朴な疑問に対して、澪音は「略礼装だから気楽だろ?」と返す。その答えに、そもそも気楽の基準が違うんだな……、と納得した。

これをカジュアルと呼ぶ人達が、よくある「平服でお越しください」なんていうまやかしを言うに違いない。


パーティーは青山財閥のグループ企業が経営するホテルの大広間で開催されている。つまり、今日は樫月家のパーティーではなく、青山家主催のパーティーなのだ。
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