【完】こちら王宮学園生徒会執行部

・a




◆ Side夕帆



「お前、またなんかしたんじゃねえの?」



放った言葉に、いつみが不機嫌に眉を顰める。

それを見て機嫌が悪いなと気づくけれど、だからって言葉を取り下げるつもりはない。



ちなみにこれは「また南々瀬が本調子じゃない」といういつみの嘆きへの返しだ。

この間はリナのことでゴタゴタしたんだったか。誤解が解けて仲直りしてただろ。……っていうか。



「直接本人に聞けばいいだろ」



「……聞いた」



「なんて?」



「……進路のことで悩んでんだと」




……ああ、一応原因はわかってんのか。

まあでもその気持ちはわからなくもない。俺やいつみは将来のことが決まっていたから、こうやって進路を決めたわけだけど。



「あいつは色々諦めてきたからな。

……選べって言われても、やりたいことが見つからないらしい」



「………」



「でも声掛かってんだと。

8プロの社長にならねえかって、直々に」



「……8プロって」



大手芸能事務所じゃねえか。

しかも直々にってことは……双子の親のどっちかが持ちかけたのか。



っていうか、それって逆にいいことじゃねえの?

やりたいことが見つからねえなら、差し出されたそれを素直に受けるのが得策だと思うけど。



< 115 / 276 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop