お願いドクター、毒よりも愛を囁いて
ドクターの知らない私
株式会社『パピカ』
私はそこの商品開発部に所属して一年目。
入社から去年までは総務課で事務を担当してた。

『パピカ』は、元は紙製品の卸販売をしていた会社で、社長の代が変わったのを機に文具の販売や開発も始めた。

まだまだ中企業ながらも経営は安定してる。
この最近は文具人気もあやかって、そこそこに業績も伸ばしてるんだ。


私はこの会社で新しい紙製品を作り上げるのが夢だった。
高校時代から紙に拘ってた私は、常に書き心地のいいノートやメモ帳を探して歩いた。

だから、ここに就職したのも自分みたいな拘りを持つオトナ向けに、ワンランク上の商品を作り上げたいと思ったから。


「文字は今や打つ時代で書く時代ではないのではないか?」


転属された時、開発チームの話し合いでそう言われたこともあったけど、だったら鉛筆やペンなんかが進化する筈がない。


「書く道具が進化していくならそれを活かせるように紙も進化するべきです!」


インクの滲まない紙を作るとか、鉛筆でいくら書いても疲れない滑り心地のいいノートを作るとか。


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