トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
8 いつもの二人
翌朝、といっても日が昇る前の明朝に、篤に電話をかけた。


……コール音が続いたまま、出ない。



昨日よりさらに酷くなった睡眠不足だが、これは自業自得なのでしょうがない。靄のような眠気を濃く淹れたコーヒーで振り払った。



しつこく篤に電話をかけつつも、普段より丁寧な朝食の準備を始める。料理は心を落ち着かせるには丁度良いと思う。



瑞希の好みに合いそうなガレットでも作ろうか。
生地の準備を整え、具材にアスパラとベーコン、卵、バジルを用意しておく。


次はスムージー用に、セロリと小松菜、林檎、レモンを洗って乱切りにし、冷蔵庫に戻した。



まだ篤は電話に出ない。



食材の準備では飽きたらず、食器類を選ぶ。アスパラの緑が映える淡い黄色の布と木製の皿を取り出した。



やることが無くなってしまったので、スムージーに飾るライムでも切ろうかと考えていたところで、篤からの着信があった。


「たーくーまー

今何時だと思ってんのー……」
< 90 / 235 >

この作品をシェア

pagetop