極上社長と結婚恋愛
私はとても幸せです
 

薄い赤土色のテラコッタの階段に、白壁のチャペル。三角屋根のてっぺんにある十字架を見上げると、視界いっぱいに青い空が映った。

余所行きのかわいらしいワンピースを着せてもらってご機嫌だった幼い私は、右手は母の手を、左手は父の手を握り、空を見上げながらぴょんぴょんと飛び跳ねていた。
雲ひとつない快晴の空を白い鳥が一羽横切っていくのが見え、思わず私は鳥を目で追う。

その時、わっと歓声が上がると同時に、青い空に色とりどりの花びらが舞った。
チャペルから出てきた新郎新婦に、拍手と一緒にフラワーシャワーが降り注ぐ。

見上げた視界に入る参列者はみな、幸せそうな笑顔を浮かべていた。

折り重なるレースや繊細な刺繍をほどこされた美しいロングトレーンのウエディングドレスを着た新婦が、こちらに背を向けて階段の上に立つ。
柔らかなオーガンジーのグローブを履いた花嫁の手から、ブーケが空へと投げられる。

青い空に浮かんだ白い花のブーケ。
花嫁の純白のドレスのフリルのように、折り重なって開いた八重咲の可憐で美しい花。


その美しい光景は、私の憧れになった。
幼かったその日から二十年以上が過ぎた今も、白いブーケは私の中で幸せの象徴で憧れだった。



 
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