鬼部長に溺愛されてます

そう言われてもやっぱりピンとこない。
なんの写真?


「……言ってる意味がわからないんだけど」

「だからね、桐島部長とミオリが抱き合っている写真がまかれてるって言ってるの!」

「――え!?」


察しが悪い私に苛立ちを募らせたミオリが興奮気味に言う。

部長と私が抱き合ってる写真って……?

バッグを急いでロッカーへしまい、彼女の後を追って慌ててデスクへと着いた。
まわりから向けられる好奇の視線に気まずい思いをしながらメールボックスを開く。

……なにこれ。

『人事部長の密会現場を激写』と書かれた文章のほかに、桐島部長と私のツーショット写真が二枚添付されている。どちらも見覚えのあるものだった。

一枚はおそらく体調を崩した部長を私の部屋に抱えていったときのもので、もう一枚は回復した部長をマンションのエントランスホールまで送っていったときのものだと思われた。
写真にはご丁寧に時間まで印字されている。
いかにも、私の部屋で一緒に過ごしましたと言わんばかりの構図に言葉を失う。

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