【完】姐さん!!
10 ◇ 東の冬と西の夏







「ほんとにやらかしたどうしようねえ聞いてわたし衣沙のこと好きなんだけどキスされたって言われたらどうしていいかわかんなくなっちゃってでもわたしが流くんにキスされたって聞いてキスしてくれたのかなって思ったらやきもちかなって考えちゃってついうれしくて、」



「せめて句読点つけて話せ。

っていうか流くんって誰だよ新キャラかよ」



「ああああああ、どうしよう……っ」



思いっきり机に突っ伏すわたしに、哀れんだものでも見るような目を向けてくる彼。

いや、「ちょっと週末空いてませんか」の一言で呼び出しに応えてくれたニナくんは心底優しいと思う。



衣沙にキスされたことを知って、そのまま「おあいこ」なんてキスしてしまったのが2日前のこと。

誰に相談すればいいかわからなくて困ってた時に、ちょうど彼から連絡が来た。



正直言って自分の「おあいこ」発言も意味がわからない。

おかげさまで、なんとなく、ぎこちないし。



……だってうれしかったんだもん。




衣沙が、わたしが流くんにキスされたからキスしたって、まるでやきもちみたいで。

わたしのことが好きって感情と別なことにショックを受けて泣いてしまったけど。



わたしだけ覚えてないのも悔しくて、自分から仕掛けたキス。

衣沙も困惑してたし、わたしだって困惑してる。



このままなんとも言えない関係が続くなら、もう好きだって言おうかな。

……というか。そもそも、彼はわたしの気持ちに気づいていないんだろうか。



「もしかしてわたしの気持ちに気づいてて、

キスで惑わせたりしながらもてあそんでる……?」



「なんでそんな考えになるんだよ……」



「だってわかんないんだもん」



衣沙の気持ちが本当にわからない。

……何をどう思って、キスしてきたんだろう。



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