【完】姐さん!!
02 ◇ フラグ通りかもしれません







ガラッと重い扉を開けば、視線が一斉にこっちを向く。

その多数の視線が次の瞬間おどろきに変わるのを見て、思わず笑ってしまった。



「姐さん! 衣沙さんも!!」



「はいはい、でかい声出すんじゃねえよ〜」



ひらっと面倒そうに手を振った衣沙が、扉を閉ざす。

重厚な扉なせいで、ぴたりと外の物音は聞こえなくなった。



「めずらしいっすね、衣沙さんが来るの」



「女の子にドタキャン喰らって暇なんだって」



だから無理やり連れてきた、と言えば。

「なるほど」と、みんなが納得する。




……うん、納得してるところ悪いけど、衣沙の行動ってなかなか最低だからね。

女の子に断られて仕方なくここに来てるんだからね。本当にトップなんかやめてしまえ。



「ひどい言い方するじゃねえの」



「事実でしょ」



悪びれもなくゆったりと口角を上げる姿からは、危うげに色香が放たれる。

それが無性に気に入らなくて、顔を顰めた。



「……ずっと思ってたんですけど。

姐さんと衣沙さんって、付き合わないんですか?」



ぽつり。

わたしたちの様子を見ていた一人から、何気なく上がった声。



この中にはわたしたちと同じ学校に通うメンバーも何人かいるけれど、その面々はわたしたちが本当に付き合っているわけでは無いことを知っている。

つまり、学校ではフリをしているのが、バレているわけで。



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