侯爵様のユウウツ 成金令嬢(←たまに毒舌)は秀麗伯爵がお好き?

一ケ月後

花の香りが風にのる麗らかな良き日、王都にある大聖堂には、上品な装いに身を包んだ紳士淑女の皆様が集っています。

祭壇の前に立つ花婿は、上等な黒い礼服にブルーグレーのベスト、グレーのタイを締めた養豚場の豚……ってあれれ、前と変わってないなコレ

「お父様、今日はちゃんと結婚してもらえるかなぁ……」

フレッドが心配そうにポソリ。

「きっと大丈夫よ、ふふふ」

それから七、八分後、レイがサブリナを挟んで私の左側に座りました。

「どう?」

「そりゃもう扉の前で号泣だったよ」

「そう……」

「彼女にしてみたら僕と歩くことしか頭になかったと思うから……。あとはプロデューサーの母上に任せてきた」

夫婦でにこやかにヒソヒソ話。


更に十分後入り口のドアが開き、(花嫁の)お父様にエスコートされた、白百合のように美しいルイーズが入場して来ました。

そうです、今日父と結婚するのは伯爵令嬢のルイーズです。

ほほほ、わたくし達、今では呼び捨てし合うほど仲良しですの。


アヴェンシー伯爵は『結婚式には出ない!』と、ずっとおっしゃっていましたので、レイが代役を務める手はずになっていましたが、来ないはずのお父様が来てくださり、と言ってもルイーズ以外はその事を少し前から知っていましたが、彼女は思ってもいなかったサプライズに、いまだ涙が止まらないようでヴェール越しに瞳がキラキラ光っています。


アヴェンシー伯爵にもご事情があったのです……。


二人の姿にじぃぃんとして、私までもらい泣きしてしまいました。


それにしても今日のルイーズ、なんて綺麗なんでしょう。

凛として品があって、彼女を包む空気までもが光り輝いています。ほぅっ

雪のようなウエディングドレスは、ルイーズのお母様が御嫁入りされた時にお召しになっていたものだそうですが、本当によく似合っていて……、ま、眩しい。

いっぽう我が父は……

リアルに美女と野獣ですが、ホントに良いのルイーズ?

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