侯爵様のユウウツ 成金令嬢(←たまに毒舌)は秀麗伯爵がお好き?
上流階級の一員になりたがっていた父は、ミシェル様の借金を肩代わりする条件として、彼女に結婚を持ちかけ、ミシェル様は背に腹は代えられず、了承したのです。

実は彼女が借金で問題を起こしたのは、これが初めてでは無く二度目でした。

前回はレイモンド様がミシェル様をお助けし、事無きを得たそうですが、今回は侯爵家内で同時期に高額な出費が重なった為、妹の借金の穴埋めにまでは手が回らなかったようです。

父からの契約結婚の申し出に対し、シャイロンクライン家の当主であるレイモンド様は、この応接室で『薄汚い成り上がり』だの『金にものを言わせる悪党』だの散々父を罵ってから、吐き捨てるように結婚の許しを与えたのでした。

ほほほ、はしたないですが、あの時私はドアの外で耳をそばだてておりましたから、全部聞いてしまいましたの。

最近では貴族と平民の結婚も別に珍しくはないのですが、レイモンド様は平民と姻戚関係になるのが、よほど屈辱的だったのでしょう。何てたってお偉い侯爵家ですからね。
ま、身分に加え父は評判も見た目も悪いですし、親子ほど歳も離れていますから。
だからって罵るなんて、あんた一体何様ですか!?

お父様も打算なんて働かせずに、さっさと手を引いてしまえば良いものを……と、あの時私は心の底から思いました。 

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