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沙希の気持ちは知っている。


だけど受け入れられない理由がある。


そんな事を言えば、きっとスミレやエイトは笑うだろう。


起きてもいない事を懸念するより、自分の気持ちに素直になれと言われるかもしれない。


俺自身もそう考える時もある。


自分が本当に沙希を傷つけてしまうかどうなかなんてわからない。


それなら付き合ってみればいいのにと。


それでも気持ちを制御してしまうのは、やっぱり心の中に宿っている悪魔の存在に気が付いているからだった。


その悪魔がどんどん膨れ上がっていき、やがて我慢の限界を超えて外へ出て来てしまう日がくるんじゃないかと、不安に感じているからだった。


そんな事を考えてしまうなんて、やっぱり俺は普通じゃないんだろうか。


「澪、俺売店でパン買ってくるけど」


気が付けば昼休みになっていて、友人の新山勇志(ニイヤマ ユウシ)がそう声をかけて来た。


勇志は俺やエイトと常に行動を一緒にしている友人の1人だった。
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