誓いのキスを何度でも
もう一度好きになりますか?
その後、涙をゴシゴシ拭いた誠一は結構恥ずかしかったようで、
黙り込んで私の側に座り込み、私が仕事を片付けるのをボンヤリ見ていた。


今更7年前な誤解を解いたとして
どうしたものか…

目の前のオトコも、私も7年前とは違う人間だよねえ。


考えがまとまらないうちに、日勤の勤務が終わり、

誠一を外来の受付前の広い待合室に待たせ、
勤務後のカンファレンスを終えて着替えて待合室に戻ると、

リュウ先生と常盤先生、桜子先生に誠一が私をを待っていたようだ。

かなり胃の痛くなるシチュエーション。


私が思わず足を止めると、

「そんなに怖がらなくっていいよ。」とリュウ先生が私に微笑みかける。
私がリュウ先生の前に立つと、

「お互いの事情は共有したよ。
じゃないと、まあ、すごく困りそうだし…
シンさんが…果歩ちゃんと…うーん。
微妙な関係なのは説明したし、
桜庭君が果歩ちゃんと昔付き合っていた事も、
誠太郎の父親なのも理解できた。って感じ。」

「しばらく桜庭くんは桜子の家に住む事になったし…
ここの病院にとりあえず、アルバイトって形で勤めることになると思う」

「でね。しばらく果歩ちゃんと誠太郎は週末ふたりと順番にデートでもしてみる…?」

え?
順番に?って?

「果歩、俺は誠太郎に会いたい。」と誠一が口を出す。

「俺も誠太郎には会いたいって言ったよね。」

とシンさんも急にやって来た誠一を牽制しているみたいだ。


待って
どうしたらいいのかわからない。


「誠太郎は私の子どもです。
…勝手に誠太郎に会われても困ります。
でも…桜庭さんは誠太郎に会いたいですよね。
…今日一緒に夕食を食べたら…しばらく会わずにいてくれますか?」

誠一は何度もうなづく。

「常盤さん、週末、一緒に焼肉を食べてくれますか?
誠太郎が楽しみにしているんで…」とシンさんの顔を見ると、笑ってくれた。

「事情が事情だからフェアにしてね。
2人が暴走すると、
傷つくのは果歩ちゃんと誠太郎だからね。」

とリュウ先生は釘を刺し、私は誠一を連れて誠太郎を迎えに行くことにした。







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