誓いのキスを何度でも
誠太郎の観察日記。その2。
最近、僕達の周囲は騒がしい。

果歩を巡ってふたりの男が争っているようだ。


毎週の週末順番に現れ、食事をしたり、出かけたりするようになった。

当の果歩は少し困ったように、でも、少し嬉しそうに微笑んで、どちらかのオトコを加えて3人で週末の1日を過ごすようになった。

もしかしたら、どちらかのオトコを僕の父親に…と考えているのかもしれない。

僕を紹介した時点で、その気配は濃厚なんだと思う。

こんな事はいままでにないことだったから…



このふたりの男はどちらも医師でかなりハイスペックで、経済的に余裕がありそうな様子だ。

やるな、果歩。

僕の父親になるのにどちらも相応しいらしく、
ヨウコさんはどちらかを選んでくれれば安心ね。
などと、果歩が勉強会の時、僕と留守番をしながら、呟いたりする。

僕は果歩がどちらのオトコを選んでも、合わせる事が出来るような気がする。

果歩も信頼して、僕を任せている様子だ。

どちらかのオトコと家族になったら…
…果歩は僕を育てるのに、そんなに仕事を頑張らなくても、生活が楽になるのかも知れないし、
果歩が長く僕のそばにいてくれるようになるのかもしれない。

と少し考えるようになった。
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