天神学園のお忍びな面々
天神大橋に午前0時
夜更け。

スマホの時刻は午後11時56分を示していた。

四季片手に、椿は天神大橋の欄干に凭れ掛かっている。

朝夕のラッシュアワーには通勤の車で大渋滞を引き起こすこの天神大橋も、今の時間となっては通行する車も僅か、通行人は皆無だ。

街灯しか照らすもののない橋の上、椿は軽く目を閉じ、微笑すら浮かべる。

この時間帯、夕城の家人は皆寝入っているだろうか。

現宗主の真太郎、奥方の紫陽花、豆柴は言うに及ばず、牡丹や蘭丸さえも眠りについている。

夕城邸からの通いではないエレナも、小さく寝息を立てているだろう。

ここに訪れている事を、椿は誰にも伝えていない。

これは椿個人の意思での行動だった。

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