天神学園のお忍びな面々
立入禁止区域
「ふぅ…」

リュークの診察を終えたディアが、溜息をつく。

「精霊乖離症の兆候はないわ。全く、心配かけないで」

「すまない」

同時に風の精霊シルフによる治療も受けたらしく、リュークの刀傷はほぼ塞がっていた。

自身が典医並みの医療の心得もあるリュークだ。

武の斬撃や刺突を、深手にならぬように急所を外していたのも幸いした。

見た目ほどに大事には至らなかったようだ。

「ふぅん?」

ディアの横顔をヒョイと覗き込んだエレナが、笑みを浮かべる。

「ディアはリュークの事を、心配していたんですねっ?」

「な゛っ!」

ぼぼぼぼ、と。

ディアの頬が一気に熱くなるのが伝わってきた。

2人をからかう余裕がある。

エレナの失恋は、完治したようだ。

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