あづ
あづ
替えの靴を持ってきてよかった、と心から思った。車の運転用に、鞄の奥に入ったままだったのだ。


しかしまさか、深夜の公園でジャングルジムに登るなんて想像もしなかった。わたしたちはもういい大人になっていたし、4時間前には、都心のホテルでパーティーに出ていたのだから。


横では あづ が涼しげに風に吹かれている。この展開は6年前とちっとも変わらない。勝手に人を巻きこんで、散々振りまわした挙句、いつのまにか楽しそうに笑っているところなどは。


18のときに、彼女と関わるということは、そういうことなのだと諦めた。 それはそれで、いつも最後にはわたしにとっても楽しいことになると気付いたからだ。現に今、眼下の景色と夜の風が最高に気持ちいい。いつも、わたしは全てを承知して彼女に近づく。彼女が「ステキ」と言って笑うのを見たいがために。





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