二時間の披露宴を終え、ホテルの最高級スイートルームに戻り、ぼんやりとソファに座っていた澄花は、軽く目を閉じていた。
 窓の外はすっかり日が落ちていて東京の華麗な夜景が広がっていたが、このひと月近くずっとこのために忙しかった澄花はひどく疲れていて、景色を楽しむ余裕もなかった。


(私、本当に結婚したんだ……)


 都内の由緒正しき神社での結婚式から、ホテルに移動しての披露宴――。

 あくまでも身内向けのお披露目を兼ねた披露宴と聞いていたが、招待客は百人もいた。今後執り行われる会社関係の披露宴は六百人らしいので、想像しただけで澄花はまたどっと気分が落ちる。


「はぁ……」


 ソファの上に積んであった、柔らかいゴブラン織りのクッションを抱え込んで、顔をうずめる。

 花嫁としての自分は、かろうじて及第点を貰えたのだろうか。

 披露宴の出席者は葛城の親類縁者ばかりと聞いていたが、ひどく緊張していた澄花はほとんどなにも覚えていない。基本的に龍一郎がその場を取り仕切り、澄花は隣で笑顔を浮かべていただけだ。