お見合い相手は無礼で性悪?


『キャ』


宙に浮いた身体は
彼にガッチリ抱き上げられていて

その恥ずかしさに動けない


『下ろして』


そんな私の声なんて聞こえないふりをした彼は
寝室へ入ると私をフワリとベッドにおろした



『・・・や』


すぐさま起き上がろうとすれば

両手を顔の横で縫い止められた

驚いているうちに彼の顔がゆっくりと近づいて

そっと唇が重ねられた

触れては離れる啄むようなキスに
高鳴る鼓動は彼に聞こえるんじゃないかと心配になるほど騒ぎだす



『さっきのキスのお返し』  


彼は蕩けるような熱い視線を合わせると
白い歯を見せて無邪気に笑った


『そんな顔してると食うぞ?』


オデコをピンと指で弾き
ギシッと音を立てて立ち上がると


『さぁ、送っていくよ』


手を引いて置きあがらせてくれた


『・・・』


感じたのは少しの寂しさで・・・





気持ちの浮き沈みはあったけれど

この人と結婚する


気持ちの変化を確かめることができた時間だった







・・・





タクシーで自宅まで送り届けてもらうと
出迎えた両親はとても喜んだ


『愛華・・仲直りしたんだな』 


『もともと仲良くなかったから仲直りじゃないわ』


嬉しそうな父に返したのは
気持ちと裏腹な負け惜しみ


それよりも

帰りの車で彼から初めて誘われたデートに

自然と顔が緩み
クローゼットを開けた

洋服を選ぶだけで
こんなに高揚した気分になるなんて・・・

初めての恋に
鎮まりそうもない鼓動

一時はどうなることかと
自分の運命を恨んだりした

最低最悪だと思った相手が
少し、いや、かなり浮上しただけで


気持ちは真っ直ぐ彼へと向かっていた




・・・




夕食の後
初めて釣書を見た


・・・あ


確かに妹さんがいた

三人兄弟の真ん中の彼

本来なら上下に挟まれて
気遣いが出来る人のはず

彼が言うように
私の配慮が足りない部分も多かったのかもしれない

状況が好転すると
全てがプラスに思えるから不思議


『愛華、来週から一翔君は家の会社に移るから・・・』


仲直りしたのはほんの数時間前なのに
聞かされた決定事項は


今の状況を想像していたかのようだった








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