神々の聖戦

二節 信念


あれから一週間、いよいよ明日が二学期の中間テストだ。

テストの前日は必ず休みになっていて、いまはゆっくり明日に控えて体を休ませている。

あの日から双子はやけに心配性になってしまった。

「ミラ〜っ、なんであの時私達を呼ばなかったの!」

『ごめん…あの時は召喚する力も残っていなくて…』

「大体、ミラは無用心過ぎるんだよ。」

このようにお説教の毎日だ。

ーコンコンコン

「ミラー!いるんでしょ?ちょっと話さない?」

ユンが魔法を使って部屋の中に声を響かせる。

『今行くわ』

「えー…またあいつのとこいくの?」

「あいつ絶対腹黒いよ…」

ふたりは不服そうに足を抱える。

それが面白くてつい笑ってしまった。

『そうだね、ユンは腹黒いかも。』

ーガチャン

白いワンピースに薄桃色のカーディガンを羽織って部屋を出ると、何時もとは変わって、私服姿のユンがいる。

「うーん、やっぱりミラは白の服が似合うよね。」

オスカークラスは他のクラスと違って休みが殆どない。

だからこうやって、私服になるのは少し不思議な気分だ。

かといって、武器はちゃんと忍ばせているけど…。

『どうかしたの?』

「父さんがミラと話したいって。」

私は頷いて前を歩くユンについて行く。

「ミラに渡したい物があるんだ。」

『なに…?』

「後でのお楽しみ」

振り返ったと同時にユンの耳元でイヤーカフと繋がった、綺麗な金細工で出来たイヤリングが揺れる。

『それ、ずっと付けてるわね。』

「あぁ…母さんに貰ったんだ。」

ユンのお母さんか…何年もユンと一緒にいるけど、一度も見たことがない。

ワイアットさんはどちらかというと厳格な顔立ちで灰色の髪にユンと同じ目をしている。

ユンは中性的な顔をしていてプラチナブロンドの髪だから、きっと彼は母似なんだろうなと思いを巡らせる。

『あ…』

寮から出ると太陽の光がユンの綺麗な髪に反射していて、思わず目が奪われた。

「どうしたの?」

『…綺麗な髪だと思っただけ。』

そう言うと、ユンは嬉しそうに笑った。

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