ふうっと息を吐きながら事務室に戻って来た北川は、なぜか私の隣の椅子にドンっと腰かけた。

「お疲れさま。NSTどうだったの?」

「お前ヤバいぞ。強力なライバル登場だ」

「は?」

開口一番そんなことを言われて、全く意味がわからなくてきつねにつままれた気分だ。

「新しくNSTに入った耳鼻咽喉科のナース、雪村莉奈。俺らの同期だ。」
そいつ、風間先生を狙ってる」

「雪村さんって…あの超美人の子でしょ?
狙うって…風間先生結婚してるのに」

「あいつ、未婚でも既婚でも気に入ったら見境ないらしい」

雪村さんは新任研修の時、男の子に媚びてばかりで女の子とはあまりしゃべらなかった。

だから仲良くもならなかったし、同期と言っても面識はない。

「昨日NSTの飲み会だったんだけど…
もちろん雪村は女好きの神田先生に目をつけられてて、副リーダーとして風間先生は雪村をフォローせざるをえなくて…
酔ったふりして先生の腕に胸あてたり、アプローチすごかったぞ?」

そんなこと、先生は今朝一言も言ってなかったのに…

結婚したって、風間先生がイケメンなのに変わりはない。

モテるものはモテるのだ。

家庭を壊してしまおうなんて考える女の人がいたっておかしくないのかもしれない。