契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました
その夜帰ってきた悠さんは、出迎えた私をぎゅっと抱きしめた。

「…ありがとう凜、キヨさんの見送りに行ってくれて」

その声はまだ弱々しい。

「悠さんが行けなくて残念だったけど、悠さんが頑張ってる姿、キヨさんはちゃんと見てると思います」

「…うん、ありがとう」

頬に触れて私の顔を傾けた悠さんはいつもよりたくさんキスした。

そして暗い窓の外に目をやる。

「いつか俺も死んだ父親みたいに、内科医院を開業したい。
患者ひとりひとりに寄り添って、最新の機器も揃えて、キヨさんみたいになってしまう人を一人でも救えたら…
そう思ってる」

初めて聞いた悠さんの夢。

だけどそれは、きっと遠くない未来に叶う。

患者思いの悠さんは、きっと地域で愛されるお医者さんになるだろう。

そう確信できる。

「そのときは、私も管理栄養士として雇ってくださいね」

そう言ったら、悠さんは顔をほころばせた。


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