契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました
本当はこんなことでやめたくない。

NSTの仕事に少しだけ慣れて、勉強になることもたくさんあって、やりがいを感じ始めていた。

長野に帰るまでは続けたいって思っていた。

なのに、自分のセクハラに逆切れして私をやめさせるなんて。

悔しい気持ちをこらえて拳をぎゅっと握る。

「…神田先生の言う通りにします。ご迷惑かけてすみません」

「相沢さんが謝ることないのよ!
…次は北川くんにお願いしようかしら。
男性栄養士のほうがいいわよね」

顎に手を当てて、独り言のようにこの先のことを考える課長。


7月から入ってほんの2か月、私なりに努力をして、NSTに馴染んでいったつもりだった。

私のデスクの棚に置かれたNSTの分厚いファイルは、たくさん残業をしてまとめたもの。

このファイルも、引き継がなきゃな…あんなに勉強したのに。


セクハラの被害者は他にもたくさんいるだろう。

だけど神田先生は、とんでもないことに、セクハラ対策委員会の役員に名を連ねている。

これじゃ誰も訴えようがない。

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