「凛」

「はい?」

「目、閉じて」

「え?」

「いいから」

キスをされるのかと少しドキドキしながら目をつむって、視界が真っ暗に変わった。

だけど唇が触れることはなく、私の左手が持ち上げられ、何をされているのかわからないけど少しくすぐったい。


「…目開けて」

再び明るくなった視界に、自分の左手が映った。

薬指に、小さなダイヤが散りばめられたシルバーのリングがはめられている。

「…サイズ、ぴったりだな。
職場ではつけないし、ネックレスにしてもいいと思ったけど」

…すっかり忘れていた。結婚と言えば結婚指輪。

天井に向けたら、それはキラキラと眩しいくらいに光って、ますます夢なんじゃないかと思った。

だけど、顔をおろせば目の前には満足げに微笑む先生がいる。

「…ありがとうございます」

「今日からよろしく、凛」

「…はい!」