契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました
「どうされたんですか先生」

師長が目を丸くして早足でカウンターまで駆けてくる。

「どうしたのかじゃない。
俺の言いたいことはわかるはずです。師長」

いつもと同じトーンなのに、そこに怒りを含んでいることは、多分私だけじゃなくナースたちにも伝わっている。

「昨日たまたまこの様子を目撃した患者から事情は聞いている。
今いるナースだけじゃなく全員に伝えてくれ。
俺たちは命を預かる仕事をしているんだ。
相沢だってそれは同じことだ。
私情を挟んで患者に迷惑をかけるような看護師は要らない。
文句があるなら相沢じゃなくて俺に言え!」

聞いたことがない悠さんの怒鳴り声に、ナースステーションがしんと静まり返った。

悠さんは合図のようにちらっと私を見て口元だけ微笑み、また白衣を翻して去って行く。


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