契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました
しばらく私もナースたちも放心していたけど、悠さんの後ろ姿が見えなくなって、ハッと我に返った。

「…あ、えっと…あのっ、今朝入院してきた患者さんについて聞きたいんですけど…」

ナースたちは顔を見合わせる。

「…日勤の担当、西方さんだったわね」

「はい」

そう言ってカルテの準備をし始めた。

「昼は欠食で、誤嚥性肺炎を起こすのが初めてではないので、胃ろうにするかどうかという話が出ていて…」

…すごい。悠さんの一声で態度がコロッと変わった。


事務室に戻って課長に報告した。

「そう、よかったわ」

「課長が風間先生に言ってくださったんですか?」

「ええ。でも風間先生、私の名前を出して立場が悪くなるとよくないから配慮するって言ってくださったのよ。
ホント、素晴らしい先生ねえ」

今の課長は頬を赤らめて恋する乙女みたいな顔になっている。

…そんな私も、悠さんがヒーローみたいに見えて、かなりキュンとしてしまったけど。

結婚してから悠さんには毎日ドキドキさせられっぱなしで、このままじゃ心臓が持たない。

…もしかして私、悠さんのことをひとりの男性として意識し始めてる…?

鼓動が高鳴り、顔中が熱くなる。

頬に手をあて、課長に動揺が伝わらないようになんとか平静を装った。


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