契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました
お母さんは、『相手方のご両親にはもう謝って了承していただいたから』と言っていた。

だけど、森田さん本人は納得していなかったのかもしれない。

「森田さん、本当にごめんなさい。私…」

「凛!」

そのとき、悠さんが駆けてきた。

「…こっ、コイツが婚約者なのか? 本当に婚約者はいたのか? 
だったらなんで見合いの話を引き受けたんだ!」

森田さんは背の高い悠さんに怯んだように、一歩後ずさって見上げている。

それで悠さんは状況が理解できたようだ。

「婚約者じゃない。彼女とはもう結婚しています」

「えっ」

「見合いの話を聞いた後に、俺が付き合ってもいない彼女に突然プロポーズしたんだ。
だから彼女は悪くない。
あなたには本当に申し訳なかったと思っています」

悠さんは丁寧に頭を下げる。

「なっ、なんだよ…
でもっ、凛ちゃんがプロポーズをあっさり受けたのは事実なんだろ? 
完全に顔目当てじゃないかっ! 
見損なったよ凛ちゃん!」

頭を上げた悠さんの目つきが鋭く変わった。

「彼女はそんな人じゃない。
だからこそ俺はプロポーズしたんだ。
申し訳ないけど、彼女を譲るつもりはない。
お引き取り願います」

森田さんはもう言葉が出てこない様子で、ぐっと唇を噛んで走り去っていった。
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