契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました
夕食を終えて食器をキッチンに運ぼうとしたとき、悠さんに手を取られた。

「凛、洗い物俺があとでやるからこっちおいで」

「え?」

「早く抱きしめたい」

嬉しいと同時に、ちょっと涙も出そうになる。

それは本音なのかな。

それとも、やっぱり私が落ち込んでるように見えるからかな。

悠さんに手を引かれるままソファに座り、それと同時に彼の腕がふわりと私の背に回る。

この腕の中にいると心地いいはずなのに、胸の奥のつっかえがどうしても消えない。

少し顔を上げたら目が合い、私の髪に指を絡ませながら悠さんはキスをする。

せつない気持ちが込み上げてきて、思わず口に出しそうになった。

「…悠さん」

「ん?」

少し首を傾け、やさしく返事してくれる悠さん。

いつの間にかこんなに愛しい存在になってしまったなんて。

…だけど、それを口にしちゃいけない。

悠さんが困ってしまう。

彼の笑顔が崩れる瞬間を見るのが怖い。

「…なんでもないです」

明るく振る舞って作り笑いをしながら、もう一度彼の胸に顔をうずめた。


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