借金のカタなのに溺愛されてます?
寝室という籠



「バイトは辞めると連絡しておいた
 それから・・・ま、いいか
 これからのことはゆっくり教える」


少し含みのある言い方に胸がザワつく


借金のカタに売られた小娘を
これ以上どうするというのか・・・


泣いている子に石をぶつけるような事を

するように・・・見える

そこが一番不安


「あ、あの・・・大澤さん?」


「碧斗だ」


「あ、の・・・手が痛いんです」


頭の上で掴まれたままの手首は
力が込められた所為で
締められた先の感覚が痺れている


「あぁ、悪りぃ」


チッと舌打ちが小さく聞こえ
ベッドマットが沈む程に押さえつけられていた
両手が開放された

両腕を胸まで下げてくると
一気に流れた血流で痺れてくる


「待ってろ」



身体を起こして携帯を取り出した

画面を滑る指に見とれている自分にハッとする


・・・馬鹿みたい


指先の感覚が戻る頃
ドアがノックされた


「どうぞ」


「ん」


受け取ったのは
トレーに乗ったティーセット
ベッドの上で起き上がると
喉の乾きを思い出した



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