溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~
空腹のオオカミにはご注意

 週が明け、月曜になっても八神さんからの連絡はない。
 人生初の朝帰りをして、ひと眠りしてから気づいたのは、彼の連絡先を知らないということ。

 ひたすら待つしかないこの状況は、いつまで続くんだろう。


 出社したら、花火大会の途中で姿を消した私のために、冷汗をかいたと奈緒美に言われた。
 八神さんの会社の人が彼女に事情を説明し、それを聞いた彼女は大ごとにならないように「両親が来ていて早々に帰宅した」と、上手く説明してくれたらしい。
 私は、それを聞くなり何度もお礼を言いつつ、先に帰宅したことを総務部長に詫びた。


 その代わり、彼女にはなにがあったかを明かすよう迫られたけれど、八神さんに謝られて帰っただけとしか言えなかった。

 なぜなら……。


「あのオオカミ御曹司に連れて行かれたって聞いて、青ざめたんだから」

 彼女が私の話を聞く前に、そう言ったのだ。


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