浅葱色の魁

「平助!立て!!諦めるのは、早いぞ!!」


「そうだ!!今日こそは、兄貴を打て!」


「はい!!! やぁ!!!」




兄弟で、剣術の稽古に励むのは、毎日の事




3人の兄達は、平助を可愛がった


弟は、4人の兄の中で、平助に懐き
いつも後をついて回った











仲の良い兄弟の別れは、突然だった















「家定様の子がおるだろ?
藤堂家に任せてはおけぬ!差し出せ!」


「勘違いでございます
家定様の子は
産まれてすぐ、亡くなっております」


「嘘をつくな!!!
家定様の子を其方が引き取ったと女中からきいておるぞ!?
男の子は、跡継ぎとなる!差し出せ!
其方の子を、ここに呼べ!
年の頃は、14 見ればわかる」










屋敷に響く大きな声だった



兄の高潔は、家臣に平助の逃亡を任せた




「平助…元気でな」


「兄上…どういう事ですか?」





高潔は、怒鳴る男に兄弟は、4人
堂々と告げた


顔立ちがそっくりな4人


男は、渋々と納得した



その時





「男と女が、馬で逃げました!!!」



「おのれ!!藤堂!!!謀ったか!!!」



「まさか!!駆け落ちですよ!!」



「追え!!」



「うちの女中と家臣の一人が恋仲で
先日、私が婚礼を認めないと叱りました
騒ぎに乗じて、駆け落ちしたのです」


「子は、女の子という話もあった
藤堂… 其方が関わったことは、明白!
逃げた者を捕らえた後、洗いざらい話をしてもらおうじゃないか」


「何のことやら…」









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