今の「凛」って、相崎凛くんのこと………?
いつも彼が潜んでいる中庭から聞こえたんだ、きっとそうに違いない。
反射的に体が動いて、気づいたら茂みから顔を覗かせていた。
「いきなり大声出すなよ、瑛斗」
…あ、やっぱり。
視線の先にいたのはやっぱりあの凛くんで。
隣にいる岸本くんと何やら話し込んでる様子だった。
なんだ岸本くんと一緒だったんだ……。
凛くんのことだから、てっきりまた女の子から告白されてるのかと思った。
見慣れた光景に安堵する。
凛くんには嫌いだって何度も言われてるくせに、少しだけほっとしてしまう。
この期に及んで、まだ凛くんに振り向いてもらうつもりでいるのは情けないかな。
岸本くんとデートをする約束をしても、私の心は凛くんでいっぱいだった。