極悪プリンスの恋愛事情


「保健室……行ってみようかな」


人目がつく場所でサボるわけないと思ってスルーしてたけど、誰も居ないなら話は別だ。


ベッドのカーテンを閉めれば誰かに開けられる心配もないし、簡単にひとりになれる。

確証がなくても行ってみる価値はあるかもしれない。



「私、ちょっと行ってくる!」


ガタンッと椅子から立ち上がり、食べかけのお弁当を片付け始めた。


「行くって今から!?」

「うん!早い方がいいと思って!」


後回しにしたら逃げているような気がして嫌だった。

何もできないまま後悔したくないから。


「ごめん!今度購買で何か奢る!」


そう言い残して教室を飛び出した。


保健室は確か1階の………昇降口の近くにあったはず………!

行き慣れない保健室の場所を思い浮かべながら階段を駆け降りる。


昼休みに廊下を全力疾走してる人なんて私くらいしかいないから、悪目立ちしてしょうがない。


でも、今は周りの視線が気にならないほど必死だった。


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