極悪プリンスの恋愛事情


そうやって皐月と話をしているうちに、今日も廊下が騒がしくなった。


「あ、噂をしていればってやつかな。相崎が来たんじゃない?」

「うん………」


この学校の人たちは、廊下が騒がしくなるだけで相崎くんが来たんだとすぐにわかっちゃう。

良くも悪くも学校1の人気者だもんね。


机に顔を伏せつつ、気になってちらりと廊下を見た。


「相崎くーん」

「おはよー、相崎くん!」


「ちっ……うるせ………」


今日も相崎くんは女の子に囲まれて、不機嫌そうに歩いている。

いつもと変わらない表情だ。


「凛は今日もご機嫌斜めだね〜」


隣を歩く岸本くんも笑顔ではあるけど、特別女の子たちに構ったりはしない。


周りには相崎くんファンしかいないわけだし、いくら岸本くんでも自分に一切興味を持っていない人と話すのは、気が引けるんだろうなぁ。


岸本くんには悪いけど、私だって相崎くんにしか興味ないもん。


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