極悪プリンスの恋愛事情


「相崎を好きな女の話なんて、当たり前すぎて誰も興味ないでしょ」

「そうかもしれないけどさ………」


反論するのも虚しくなり、薄汚れた机に視線を落とした。

と、その時。


「相崎くんだ!」

「相崎くん、おはよー!」


急に騒がしくなった廊下から、女の子たちの黄色い声が教室まで飛んでくる。

そのキャーキャーとうるさい声に驚いて、落としていた視線をすぐさま廊下に向けた。


「2日も相崎くんに会えなくて、超寂しかった〜」

「相崎くん、今度カラオケ行こうよ」



相崎くん相崎くんと連呼する女の子たちの中心にいるのは、ついさっきまで皐月と話していた彼、相崎凛(あいざきりん)くんだ。


可愛いらしい名前とは裏腹に、男らしいシュッと引き締まった体とモデル並の高身長。


くっきりとした線が入った二重やら、スッと通った鼻筋やら、女の子の憧れを全て詰め込んだような顔立ちをしている。


そして艶のある綺麗な黒髪は、窓から流れる秋風に揺れ、見ているだけでいい匂いがしそう。


芸能人ではないのかと疑うほど完璧に整った容姿は、道行く人が必ず一度は振り返ってしまうほど美しい。


だから彼は学校で1番人気がある。それはもう、雲の上を飛ぶような勢いで。


< 4 / 313 >

この作品をシェア

pagetop