お見合い結婚狂騒曲
本当、その自信はどこからやって来るんだろう。

「だから、君も心にシャッターを下ろさないで、もう少しオープンになってくれ」

ーーサイボーグだと思っていたのに……もしかしたら、彼以上にサイボーグなのは私かもしれない……。

フーッと深く息を吐き出す。

「分かりました。今日はここに泊まります」

私が帰った後……孤独死、なんてことになったら大変だ。

「少しでも気分が悪くなったら言って下さい」

葛城圭介がフッと笑みを浮かべる。

「君は一筋縄ではいかないようだ。早く好きだと自覚してくれないと、君の望む結婚にはならない。本交際はだいたい半年ほどだからな」

それって結婚ありきの言葉だよね。見合いって、本当は怖いのかも……チャランポランでも、受けたが最後、坂を転がるように結婚への道に落ちて行く、そんなイメージだ。

「肝に命じておきます」と作り笑いを返す。

「では、お家デートらしく、まずはシアタールームで映画でも観よう」

「ですね」と相槌を打つ。

まぁ、とにかくだ、後ろ向きより前向きなのはイイ。彼は私を婚約者とインプットすると、即、それに向かって行動を起こせる人ということだろう。切り替えが私より数段上手いということだ。

ーーこういうところが経営者たる資質だろう、と偉そうに分析をしながら、彼の後に続き、そのシアタールームとやらに向かう。

しかし、無駄に広い部屋だ。
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