そんなぁ、私のために……泣けてくる……。

「頭を上げて下さい。貴女が悪いわけじゃありませんから」

葛城圭介はそう言いながら蔑んだ目で私を見る。
出かけた涙が引っ込む。

「謝るのは君だろ? 幼稚園児でも分かることだ」

ーー何だろう、さっきから……憎しみ? そんな負の感情が彼から漂ってくる。
私が何をしたというのだろう?

「おいおい、圭介、ここはバトル会場じゃなく、見合いの席だぞ」

真斗さんが苦笑する。
彼はいつも優しい。

もう終わった事だが、真斗さんは公香のことが好きだった。親戚だが血の繋がりはない。当然結婚できる。だが、公香のタイプではなかったようだ。

「ところでお二人の関係は?」

土田さんが訊ねる。真斗さんの態度が普段と違うからだろう。

「嗚呼、コイツとは幼馴染、悪友です」

やっぱり、と思う。

「まぁ、そうでしたの。それにしても、タイプは違いますが、お二人ともかなりのイケメン。おモテになるでしょう」

そして、土田さんの態度も全然違う。コロコロ笑う彼女に……もしかして、今回の見合いは既に放棄しているのでは、と思う。

怒れし獅子の葛城圭介、崩れし仲人二人、早くも帰宅を望む私、場の雰囲気は見合いの席というよりも、寄り合い会場と化していた。

「お待たせいたしました」

そこに次々と料理が運ばれてくる。