お見合い結婚狂騒曲
黒檀の座敷机いっぱいに並べられた色取り取りの料理は、目にも鮮やか、舌にも鮮やかで、感涙しそうになる。

目前にある不機嫌マックスの顔さえなかったら、パラダイスなのだが……食事中、葛城圭介は私を透明人間のように無視していた。

そりゃあ、釣書も見ず、のこのこやって来た私も悪いが、私と知って見合いの席に来る、葛城圭介もどうかしている。気に食わなかったら断ればいいんだ。そういうシステムになっているのだから。

本当、ムカつく。
こうなったら、美食を堪能してサッサと帰ろう、とセッセと口を動かす。

「ところで、葛城様はどうしてお見合いを?」

土田さんが訊ねる。

アッ、そうだった。
あの時、彼は大丈夫と言ったではないか! 許嫁はどうした!

アハハハハと真斗さんが笑い出す。

「実直な土田さんが、今日はブッ壊れていますね」
「人のことは言えませんよ。小泉さんこそ、仲人らしくない言動の数々ですわ」

私からしたら、二人共、アウェイ感、半端ないです。

「結婚したくなったので、真斗に頼みました」

先程の答えを時差で返す呆けた葛城圭介。
ゴーイングマイウェイなお方だ。
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