お見合い結婚狂騒曲
「そんなのが居たら貴女に回さず、私がゲットするわよ」の言葉通り、公香は二年前、私の理想とするような殿方を、見合いに頼らず自力で見つけ、盛大な式を挙げた。

本当、大した女だ。

私だって、最初から見合い結婚を望んでいたわけではない。
運命的な出会いや、ピンク色の恋や、熱き愛を信仰していた時期もあった。

ーーそう、こんな私になったのは、二十四歳の失恋。あれだ。

相手の男は、社会人になってから付き合い出した大学の同級生だった。
院生の彼と擦れ違いが続いたあの日、恋愛小説に良くある、浮気シーンを現実に目撃してしまったのだ。

当時、純情可憐だった私は、どうして浮気なんか、とその場で二人を責め立てたのだが、「もしかしたら、結婚できるって思っていたの?」と男に大笑いされ、挙句、「遊びだったのに」と冷たく突き放された。

その時、大泣きしながらも、頭の片隅に居た冷静な私が、『遊び』と『本気』の違いは? と自分に疑問を呈した。

そして一年後、先の疑問を真剣に検討した結果、『本気』を求めるなら、結婚有りきで交際すべし! の考えに至り、行き着いた先は……公香の勤める『見合い屋』だったという訳だ。
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