「へー、日帰りで北海道に行って来たんだ」

日曜の夜七時。テーブルいっぱいの北海道土産を見下ろし、公香が嬉々とする。

「驚かないの? 日帰りだよ。ここは普通ツッコムとこじゃない?」
「そう? 天下の葛城圭介が相手だし、それこそ普通じゃないない?」

ーー普通って何だろう? 分かんなくなってきた。

「ところで、どうして今日来たの? 私は、明日、取りにおいで、と言ったと思うけど?」

北海道から帰ってきたばかりだ、もうクタクタだった。
それに……葛城圭介のあの言葉の意味が分からない。嗚呼、悶々とする。

「だって、旦那様が出張中で暇だったんだもん」

もん、とピンクの唇を、可愛く突き出すあたりが、あざとい。
公香は昔から、女を武器にするのがとにかく上手い。

それを指摘すると、「それが女の特権よ」と開き直り、「真央は人間が激辛過ぎる。甘味も覚えた方がいいよ。幸せになりたかったらね」と痛いところを突く。

「それに、ここからだったら仕事に行くのに便利だし」と持参した着替えを見せる。

本当、勝手な女だ。だが、言い返すと、逆襲されペタンコになるのは目に見えている。だから何も言うまい。

「それにしても、大量のお土産ね。真央ってば私に気を使ってくれたの?」

そんな訳、あるはずないじゃないか!

「それねぇ……」