お見合い結婚狂騒曲
しかし、世の中は、『絶対に……したくない!」という願いほど聞き届けられないものはない。

ーーというよりも、そう考えた時点で、それを引き寄せてしまうものなのかもしれない。



「はい、釣書。次回のお相手、メチャいい男らしいわよ」

本来なら、仲人さんから手渡されるであろう釣書の入った封筒を、毎度、公香から手渡される。彼女は私の見合い相手に興味深々なのだ。しかし、しっかり封がされているので、公香もどんな相手かは知りたくても分からない。

「フーン、いい男って、何を基準で言っているやら」

勝ち組の公香に興味を持たれたところで、彼女の男以上の男がヒョッコリ現れるでもなし……。

本当、嫌味な女だ。

だが、どんな女だろうと信頼する親友には変わりはない。いつもなら、彼女の意見を聞きたいとこの場で封を破るのだが……。

ワクワクと封筒を見つめる公香に、何となく反抗心が芽生えた。「アッ、電話だ」と震えてもいない携帯を耳に当て、「ごめん、行かなくちゃ」と軽く手を振り『見合い屋』を後にする。

本当、私も嫌な女だ。
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