君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている

落ちる月白





ガラゴロガシャンと音が響く。

学校の購買横の自販機前で、1年生の女子に頼まれていたラブレターを、3年の先輩に手渡した。

中学からの先輩後輩の関係らしく、受け取った先輩は「まじ? やった!」とものすごく素直に喜んだ。

年上なのにどこか可愛い。バスケ部だそうでとても背が高く、なぜか天井近くの蛍光灯にもらった手紙を透かしている。


「じゃあ、あたしはこれで」

「あ。待って、剣道小町」

「あの、その呼び方はちょっと……」


笑顔で浮かれる先輩に、あたしの不満の声は届かなかったらしい。

ご機嫌な様子であたしにレモンソーダの缶を差し出した。


「お礼。受け取って」


ありがとうって言われて、冷たい缶を手の平に乗せられて、驚きのあまり少しの間固まってしまった。

先輩が不思議そうに首を傾げ「炭酸苦手だった?」と聞いてきて、ハッとして慌てて頭を下げる。


「あ、ありがとうございます!」

「こちらこそ?」

< 189 / 333 >

この作品をシェア

pagetop