たとえこの身が滅びようとも
scene 2

私達は母親の卵から生まれて
そのまま政府のドームに運ばれて
分別される。

社会に戻れるのは半数の人間。

『あなた達は運の良いエリートです。政府に感謝して生活しましょう』
そう教え込まれ
20歳になるとドームから出される。

卵から産まれて20歳までの記憶はない。

でもドームを出される時
私達は一定の教養とマナー
社会で生活できる知識を覚え
新しい職場と住処を指示されて生活する。

従順な羊たちの生活に溶け込み
私は丘の上の人達が買い物に来る
大きな百貨店で宝石の売り子をしていた。

百貨店の斜め向かいには
大きな大きな卵のような白い建物があり
そこで毎日卵は産まれ
大きなトラックで運ばれる。

社会に戻れなかった半数はどうなるのか
誰も知らないし
誰もたずねないけど
色々な噂が耳に入る。

他の国に販売
育てて、丘の上の人達用の臓器移植に使用
丘の上の人達の医療貢献の為の人体解剖用
丘の上の人達のペット

でも一番信憑性があるのは
卵を孵らせず
食用に使用する方法だった。

食べ物が足りない時代だから。
しょうがない。







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