君の背中に見えた輝く翼に、私は恋に落ちました
きらきら輝くキミ
わたしが告白された日から

数日が過ぎた。

告白を断った事は、璃子にも

聖奈ちゃんにも伝えていた。

「好きなのになんで断ったの?」

少し怒っていた璃子に

わたしは本音を打ち明けた。

「好きって思える人が出来て…

その人から同じ気持ちを

返して貰えた。

すごく嬉しかった。

でも…それと同じくらい

怖くもなったの。

わたしといて桐生くんが傷付いたり、

嫌な思いをさせてしまうかも

しれない…

桐生くんは全部受け止めるって

言ってくれたけど…

わたしは大切な人には

笑顔で居て欲しいの。

その笑顔をわたしが壊すことに

なったりしたら、わたしは

わたしを一生許せない。

わたしの傷は、わたし一人で抱えて

生きていきたいの…」

わたしの本音が、

どこまで理解されたかは

分からないけど。

璃子も聖奈ちゃんもその日から

何も聞いてくる事はなくなった。

そして気まずさはあっても

わたしはいつも通りに過ごした。

桐生くんのことは

今も変わらず好き…

だって人生で初めての恋だもん。

運良く桐生くんの席はわたしと

離れているし、前の方だから

こっそりと見るだけ…

断っといて何してんのって

感じだけど。

でも、それを態度に出してしまえば

桐生くんについた嘘が嘘では

なくなってしまう。

それじゃダメなんだ…

だから、苦しいけど

わたしは桐生くんへの態度を

大きく変えた。

話しかけられても

素っ気なく返したり

クラス委員の仕事で2人になっても

わたしは自分から

話しかけなくなった。

わたしを見つめていることにも

気付かない振りをした。

それが桐生くんを

傷付けることになっても…

桐生くんは学年でも

人気の男の子だ。

バスケ部でしかも1年でスタメン入り、

それに加えてあのルックスだからか

部活中は女の子達のギャラリーも

絶えないんだ…

この中にきっと、桐生くんに

相応しい人がいるはず…

こんな傷を持つわたしよりも

普通の女の子が。

そしていつかこの中の誰かと

付き合うようになったら…

わたしは桐生くんの気持ちを

断ち切る事ができるかもしれない。

だから…

それまでは好きで居させて欲しい。

想うだけ…

見るだけ…

勝手なお願いだけど…

いつかの日が来るまで。

それ以上は、望んではいけない。

苦しくても、泣きそうなくらい

好きでも…

自分で決めたことなのに、

心はいつも、桐生くんを

求めてしまう。

好きの気持ちを消せなくて、

ただ時間だけが過ぎていって、

断る前よりも、どんどん

好きが溢れてくる。

前にも進めず、好きになる前にも

戻れなくて…

わたしは、その狭間で

1人、立ち尽くすしかなかった。
< 46 / 102 >

この作品をシェア

pagetop