記憶を失くした少女【完】

RYUSEIの倉庫へ




それから数週間が過ぎた。


周りの変化といえば、遥輝が私をあの日クラスに忠告したことによって、みんなの態度が急変。


散々馬鹿にしたり、嘘だといじってきていた人たちは、気にいられようと分かりやすいほど媚を売り、そうでない人は後ろにRYUSEIがついていると、あえて関わらないようにしている。


 その気にいられようとしてるのは私じゃなくてRYUSEIの方だと思うけど………………まぁ、ちょっかいを出されなくなったのは嬉しい。


ご飯のときは屋上で皆で食べるのが最近の恒例になっている為、昼休みは教室を抜け出して屋上へ行ってる。


そして、メンバーとの仲もそこそこ順調。


「宇佐くんの作るお弁当ってほんと美味しいよね!」

今日は週に一回の宇佐くんが作ってくれるお弁当の日。

あの日のサンドイッチのときもそうだけど、宇佐くんは料理を作るのが好きみたい。

「ほんと?そう言ってくれると作り甲斐があるよ(笑)」
 
特に誰が決めたとかないけど、自然と週一に宇佐くんのお弁当を食べる感じになったんだよね。

私としては食費浮くし、宇佐くんのは美味しいから聞かれたとしても大賛成なんだけど。


「そういえば、勉ってケーキも作るよな~」

「へぇ、お菓子も作れるんだ!」

「あぁ、趣味でね。良ければ今度作ってこようか?」

「え!いいの!!?」

「言ってくれればいつでも作るよ(笑)」


笑顔が素敵な宇佐くん。

このメンバーの中でお兄さん的存在なのが、宇佐くんなんだよね。


頼れる優しい兄って感じで。


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