記憶を失くした少女【完】

居心地悪い場所














あれから数週間後。



蘇芳遥輝にバレてしまった気まずさから、私は更にその人を避けるようになった。


屋上にも行かないし、この間食べていた場所にも行かない。


極力合わないように、保健室で食べる日々が続いた。


保健室の方があまり生徒も来ないし、その人が怪我とか用事とかでここに来ない限り蘇芳遥輝に会うこともないから。


保健室の先生は、最近まではよく外へご飯食べに出て行ってたのに急に室内で食べるようになった私を不思議には思いつつも、あえて触れてこない。


その行為が私にとってはとてもありがたかった。


そして、授業が追いついてしまったこともあるけど、蘇芳遥輝にバレたから、私が隠し続けていてもいずれかは皆にバレてしまう。


ずっと隠し通せることではないと思ってたけど、いざ私が山田綺羅だと知られてしまうのは少し怖い。


それでも、いずれは教室に戻ることになっていた身。

だから私は思い切って教室に戻ることにした。

もしかしたら、皆今の私を受け入れてくれるんじゃないかって心のどこかで期待しつつ。




………………………………………って、その戻る日が"今日"なんだけどね……。


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