イケメン医師は今日も新妻が可愛くて仕方ない
着替えて軽く化粧を直してロッカールームを出て職員通用口へ。

その出口のそばでは伊吹と同期で仲のいい外科医の葛城先生が煙草を吸っていた。

「お疲れ様です」

そう声をかけると、気付いた葛城先生が返事をくれる。

「あぁ、山口さん。お疲れ様」

そう言って、サラっと片手を上げて挨拶してくれた葛城先生。
最初は警戒心剥き出しで冷めた顔しかしてくれなかったが、私が伊吹の幼馴染みと知ると挨拶程度しかしないが警戒心剥き出しの冷めた顔はしなくなった。

「ほら、早く行きな?伊吹もう車で待ってるぞ?」

クスッと口角を上げながら言われて、駐車場を見渡し伊吹の車を探せば確かに乗っている。

伊吹の車は海外の有名な高級車の4WDだ。
車高が高めで乗るのがちょっと苦労するのは、私が少しばかり小柄だからかもしれないが。

「あ!もう、通用口って言ったのに!」

ちょっと愚痴ると、葛城先生はボソッと言った。

「早く出掛けたいんだろうな……。山口さん、お疲れ様。頑張ってね」

そうポンと肩を叩くとタバコも吸い終わってたのか葛城先生は院内へ戻って行った。

「ご飯食べに行くだけなのに、いったい何を頑張るんだろ?」

小首を傾げつつも、私は伊吹の車へと向かった。
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